今週のお題「秋の空気」 読書のこと
今週のお題「秋の空気」
読書の秋ということで、読書感想を書いてみました。
読書自体は好きなのですが、昔から感想文を書くのがどうも苦手なのです。書いたら書いたで恐ろしくまとまりがなくなってしまうという...
そんな苦手意識の克服や自分の考えをまとめる練習も兼ねて、これからもちょっとずつ読書感想の投稿を増やしていけたらいいなと思います。
新しく、「読書」のタグも増やしてみました。
さて、以前いとうせいこうさんの著作『ボタニカル・ライフ』 を読んで、ベランダでガーデニングをする人をガーデナーならぬ「ベランダー」と呼ぶらしいということを知りました。
栽培方法など一切調べず自己流で育て、枯れるもの拒まずの豪快な心構えのガーデニング術や、共感できすぎるあるあるが満載な、とても面白い一冊でした。日記形式でだいたい見開き1ページで内容が完結するため、すらすら読めてしまいます。
中でも印象的で覚えているのが、可愛らしいお花を育てる際にご自身のことを「お城からさらった姫君を無骨な手つきでこわごわ世話する悪党」に例える表現(ちょっとうろ覚えです)。
いいおじさんが真剣に植物をお世話する様がありありと浮かんできませんか?なんだかフフっとなってしまいます。
今回は2作目にあたる『自己流園芸ベランダ』を読みました。
植物好きであれば誰しも、日ごろ植物と接していると、そのありようにふと自分の心境がしぜんと重なったり、はたまた無意識の自分に出会ったり、自然の摂理のようなものを感じたりと、感覚が研ぎ澄まされて直観力が働く瞬間に出会うことがあるのではないかと思います。
いとうせいこうさんはそういった描写が本当に素晴らしく、どのテーマもすっと腑に落ちて共感できる内容になっています。
例えば私が惹かれたのが、日記中に何度か出てくるネコヤナギについて。
冬の日差しを受けて柔らかく輝くネコヤナギの花穂の微細な毛から、植物が太陽からの恵みを最大限受け取るために光を集めるようかたちづくられた存在であること、そしてそうした植物が反射する光が、人の心をも明るくするのだと言及されています。
情景がありありと浮かんできて、本当に素晴らしいと思いました。(まあ、そのネコヤナギも枯れてしまうんですけど)
また私もそういう存在である植物にずいぶん生きる力をもらって助けられているんだなあと気づかされました。
一時的なはかないものかもしれないけれど、小さなベランダという空間に生まれる植物と人間の緊密な共生関係。
こうしてみると、ベランダ園芸界に好物件など一つも存在しないことがわかる。誰しもが等しく悪条件に立ち向かい、それぞれの知恵で春夏秋冬をしのいでいるのである。だが、だからこそベランダーは互いを尊敬する。狭かろうが広かろうが、日当たりが良かろうが悪かろうが、我々はベランダという苦難を抱えた同士なのだ。
最後にこの一文、いちベランダーとしてすごく励まされます。苦難をかかえながらも、私たちは立ち向かっているんだ。趣味だけど、全力なんです。
さて、この本は図書館で借りてきたのですが、カレル・チャペック『園芸家の一年』も一緒に借りているので読むのが楽しみです〜(^^)