バラのがんしゅ病についてのメモ
黒に白の覆輪の小花というクールさにグッときて、プリムラを小学生以来ぶりに買って育てています。
バラたちの冬のお世話を開始しました。が、開始早々ステファニーグッテンベルクからがんしゅ病を見つけてしまいちょっと泣きそうになっております...白いひげ根はしっかりしているけれど、木質化した古い根の部分が全体的に弱ってるように見えました。一昨年コガネムシ幼虫に根無しにされたダメージがそれほどまでに大きかったということでしょうか。
がんしゅ病が他のバラにうつるからと言って無闇に怖がっていては、自分がしんどくなる一方です。趣味のはずのガーデニングなのに、楽しくなくなってしまっては意味がない!自分なりに、がんしゅ病リスクについて何がセーフで何がアウトなのか少し考えることにしました。文章長いです。(間違った情報を載せてしまっていたらごめんなさい。お知らせいただけると幸いです)
我が家での栽培環境を振り返ったとき、バラの生育に対して負荷をかけている要素といえば、思いつく限りで下記のようなものがありました。
1 については自分の体質や思うところなどもあり、できる範囲でテデトールや物理的防除しながら無農薬栽培は続けていきたいところ。2 については、バラ以外の植物の被害も大きいので、今年は小さな庭全体を遮光ネットで覆うなどしてみたいと思っています。人間も快適に過ごせそう。3 については、経験の浅い私にはなかなか難しく、コツをつかめきれていません。やりすぎて肥料やけしたり、夏以降は不足して葉っぱが小さくなっちゃったり。一度、きちんと見直したい部分です。
一方で、がんしゅ病の原因菌(一般的に呼ばれているアグロバクテリウムと呼びますね)の生態について見ていきます。*1
- 土壌中に生息し、植物の傷口から分泌されるアセトシリンゴンなどの植物因子に誘引されて傷口に到達する。
- 好気性で砂質土壌(通気性のいい土壌)を好む。
- 最適温度は25〜30度、最適土壌湿度は60〜90%で、温暖多湿の時期に増殖する。〜10度くらいまでの低温時は活動性が低いようす。
- 生育に最適な酸性度はpH6.0〜8.4。
- 無機物の添加はアグロバクテリウムの生育を抑制する一方、有機物の添加はアグロバクテリウムの生育を著しく助長する(←マジで!?ってなりました)
アグロバクテリウムのメインの侵入経路は土壌中の植物の根っこの傷です。当たり前の結論になってしまいますが、本菌が活発に活動する期間(土壌温度がだいたい15度以上になる期間?)に、とにかく根っこを傷めないよう保護してあげるのが私ができる一番の防除のようです。(剪定ばさみの除菌はもちろんのこと。)
具体的には、コガネムシ幼虫を防ぐ(これが最優先かな。土中で蛹になるハバチ類も若干のリスクがありそうですが、キリがない)、猛暑時の水切れ・根傷みを避ける、鉢を地面に直置きしない(根を下ろしちゃうから)、といったところでしょうか。頻度が難しいですが、薄めた木酢液を灌注するのもよさそうですね。
またネットで、「冬にバラの根っこをいじるのは、がんしゅ病にかかりにくいから」という意見を見かけてなるほどと思ったのですが、冬にバラの根っこをガッツリいじってもいいというのは、低温時はアグロバクテリウムも活発ではないため、バラの根っこに傷ができたとしても、菌が根っこに到達する前に傷がリカバーされるのでリスクが低いということなのかな。「根っこの傷からがんしゅ病になるなら、冬の鉢替えの時に根っこをいじるのはNGなのではないか?」と以前から疑問があったのですが、だいたい納得した感じです。
ちなみに、無機物、有機物の添加についてはどう捉えればいいんでしょうね...「アグロバクテリウムは弱い菌なので他の常在土壌細菌に負けてしまう」説を見かけるので、有機物の投入は細菌のバランスが取れていいのかと思っていたけど、単純にはいかなそうです。それと、無機物、有機物を一緒に施したらどうなるのかな?
今年うちの庭でがんしゅ病が多発してしまったということは、今の環境ややり方がトータルに見てバラ栽培に適していない、無理やり育てている分リスクが増えてしまった結果であるように思います。残念だけど、ちょっと反省して、当面はバラを増やすのはやめよう。この冬はもう増やしちゃったけど。
ガーデニングはあくまで趣味ですので、心の安寧を守るためにも、自分ができる範囲で環境を整え防除を心がけつつ、無闇に病原菌を恐れないようにしていきたいところです...!って理想を言いながら、実際は日々のズボラ栽培で手を抜きまくるのが目に見えるようですが!
・追記
まとめたつもりになっていましたが、微妙にまとめ切れていなかったです。自分の栽培環境的に、これから何を心がけていきたいかというと。
- アグロバクテリウムの活動が活発な時期の根傷みを避ける。=根っこの保護を意識したお世話を心がける。
- 冬にバラの根鉢を崩すのは大丈夫そう(リスクが低そう)。
使用したガーデニング用品などの除菌は言うまでもなく年中通して必須ですね。そして、結局は一般的なバラ栽培のポイントを守るということに尽きると思いました。
そしてコメントにて、(id:toniho)様にわかりやすくがんしゅ病についてまとめた記事をお教えいただきました。ありがとうございました!
*1:
新しい情報ではありませんが、ネットで見つかった文献からざっと拾った情報です
澤田宏之 2006 『いわゆる「アグロバクテリウム」について ─(1)プロフィールの紹介 ─』https://www.jsmrs.jp/journal/No22_2/No22_2_117.pdf
権藤道夫 1961 『土壌病原菌の土壌生態学的研究 : 第5報 根頭癌腫病菌に対する土壌諸要素の影響』鹿児島大学リポジトリ(※バラではなく、ヒマワリから採取した菌でのデータになりますが、大まかな部分は同じかな?と思い参考にしました)
前職の影響もあり、こういう文献を拾って読むのもけっこう楽しかったり。